相沢くんは、絶対断る。


これは何回も告白して断られた女のカン。

って、自慢出来ることじゃないけどさ……。



でも分かる。



「うっわ! 相沢ってば何て言ったんだろ? あの子いきなり泣いたよ?」


予想通り、相沢くんに話しかけた女の子は泣きながら走り去って行った。

集団は途端に大騒ぎになって、口々に文句を言っている様子。



その騒ぎのモトになった本人は……、何事もなかったかのように寝てる。


「相変わらず、酷いねー」


外の状況からこちらに顔を向けた紗希がやれやれと肩をすくめる。


「どんなフラれかたしたのか知らないけど、泣くぐらいなら行くなって言いたいけどね」


ふん、と鼻で笑って言うと、紗希がおおー、と言いながら変な目であたしを見た。


「何よ?」


「いや、さすがだなー、と思って。その位の図太さがないとあんなに何回も告白できないよねー」


「最初っから図太かったわけじゃないの。ならざるを得なかったの」