kiss-choco

でも、今の片桐くんはあたしの願いの為に行動してくれている訳で。

勝手な都合で自分を振った女の子の為になんて、なかなか出来ることじゃないと思う。

それを疑えっていうのは何だか心が荒んでる気がするんだもん。


でも多分それを紗希に言うと、


『ほお? ってことは、あたしは荒んでる訳ね?』


何て言われるのがオチで。

それは益々気まずい雰囲気になっちゃうから、あたしは唇をきゅっと結んだまま、
窓の下を見つめていた。


「お、相沢が片桐から逃げ出した」


中庭で寝転んでいた相沢くんが、むくりと起き上がったかと思うと
片桐くんを置いて去って行った。

ポリポリと頭を掻いている片桐くんが、ついっと顔を上げた。
窓際にいるあたしたちに気がついたのか、
ぴらぴらと手を振る。

ん?
何か口をぱくぱくしているみたいだけど……。


「あいつ、何だろ?
こっち帰ってこーいっ」


紗希が窓を開けて叫ぶ。
片桐くんは何度も頷いて、中庭を駆け出して行った。