「ごめんなー。鈴奈に手伝わせちゃったなー」


「……別に、いいよ」


職員室に向かう廊下。

あたしはノートの束を抱えて、片桐くんと並んで歩いていた。


だって、これ見よがしにノートの山を抱えて、溜め息つかれたら、手伝わないといけない雰囲気にもなっちゃうでしょ?

『ようやく全員分揃ったぁ』なんて言われたら、
『一緒に持って行こうか?』とか言わざるを得ないでしょ?


てな訳で、気まずさを感じつつも、あたしはノートを抱えつつ歩いてるのだ。


「何か久しぶりだなー。鈴奈とこうして歩くの」


「あー、うん」


片桐くんと別れてから、えーと、一年ちょっとか。

ずいぶん昔のような気がするなあ。

片桐くんに別れを告げてすぐ、相沢くんを狙いだしたんだよね。


ちらりと相沢くんの不機嫌な顔が浮かんで、溜め息。

ああ、あの時のあたしは、こんなにも相沢くんを想ってしまうなんて想像もしてなかったよ……。

人生って、本当に予測不可能。


「鈴奈? 意識飛んでないか」