kiss-choco

あたしは必死に昨日のことを思い出そうとして。

あの時は頭がカァっとしてよく覚えてないんだけど。


そう、相沢くんの顔がぐっと近くなって……。


「そうだ、鉄棒の味がした!」


「はあ? てつぼぉー!?」


「うん! 鉄棒!」


相沢くんとのキスの味。
小学校の時に校庭に並んでた鉄棒だ!


そんなあたしに、紗希はでっかい溜め息をついた。


「血の味でしょ、それ」


「あ、そ、そか……」


血、血ね。うん。

……だよね。
あたし思いっきり噛んだもん。


って、噛んでおいてキスとか言いどころじゃない?


でも、初めてのキスだし。

でも血の味だなんて……。




最悪……。


最悪じゃん。



「うわああー……っ」


どかんと自己嫌悪の気持ちが溢れて、あたしはたまらずに叫んだ。


「紗希! あたしなんで噛んだの!?」


「こっちが聞きたいよ」