そ、そっか。

紗希、あたしの事考えてくれてたんだね。


てっきり本気で片桐くんたちに売られるもんだと思ってた。


ああ、友達っていいわあ。


「ジュリアのゆるふわプリンとキャラメルタルト、楽しみだったんだけど、なー……」


窓の外に視線をやりながら溜め息をつく紗希。

き、きっとこれ、多分冗談、よ、うん。


あたしは紗希の言葉は聞かなかったことにして、友情の再確認の喜びだけ噛み締めた。


「……しかし、相沢に好きな女がいるなんて予想外だったわ。相沢、特に決まった女とかいない感じだったし」


外に顔を向けたまま、紗希が溜め息混じりに言った。


「あげくに椿ちゃんかよ。
まあ椿ちゃんって年上なのに可愛い雰囲気だもんねー。

ってか、全然エロとは無関係なタイプだよね」


「だからエロいとかってのは断るためのウソなんだって。あたし最初っから言ったじゃん」


どん、と机を叩いて抗議する。