kiss-choco

さっきは別人みたいにしおらしかったよ?


胸の警報は今やMAXで、けたたましく鳴り喚いてる。


ああ、ちょっとおとなしくしててよ。
うるさくて頭まとまんないから。


「あ、あの。相沢くんさー」


「何?」


「椿ちゃん好きなんだ」


ばっと相沢くんがあたしを見た。



ぎゃーーーっ!

ま、まち、間違えた!

何ダイレクトに聞いちゃってんの、あたし。


正気デスカー!?


「なっ、なに、言って……広瀬、あの」


真っ赤になって、どもる相沢くん。


ああ。その顔。
その真っ赤に照れた顔。

こんな状況で、しかも他の女のことで見るハメになるなんて、


嫌だあああああっ!


最悪だあああああっ!


嫌だよ。嫌。
そんな顔、あたしの為に、してよ。


「……椿ちゃんのこと、好きなんだ?」


口が勝手に動く。
あたしの意志? よくわかんない。


だってうるさいんだもん。
全身が警報機になったみたい。

ああ、もう何なんだろ。


「広瀬、俺……」


赤い顔をあたしから逸らしていた相沢くんが、ふ、と正面を向いた。

真剣な顔。