ぼんやり想像していたら、紗希に肩をつかまれた。

紗希はあたしの顔を覗きこむようにして、小さな子どもに話しかけるような口調で言った。


「あのねぇ? キスを一つしたくらいではエロい女にはなれないんだよー?」


「え!!?? な、なんであたしがキスの事考えてたとか分かるのよ! ってそんなの考えてなかったもん!」


慌てて弁解するあたしに、紗希は大げさに溜め息をついて首を振った。


「キスかぁ……、なーんて呟いてりゃ分かるっての。
あんたねー、キスなんて幼稚園児だってやってるよ? 
キスとかじゃなくて、その先のセック……もがっ」


「いい! 言わないでいいから!」


あたしは紗希の口を両手で塞いだ。


「んーっ、んー……っ!!
ぷはっ。鈴奈、あたしを殺す気?
とにかく、あんたみたいな甘い考えじゃダメだよ。自分がかわいいんなら、もう諦めな」


「イヤだっ!! 諦めないったら!!」


紗希とにらみ合うあたし。


「…………そう。わかった」


ふい、と紗希が視線を逸らした。


よっしゃ、勝った! と思った瞬間。