そんなコトできるわけないじゃん!!

そう言いたい、けど、紗希の言う事はもっともなのかもしれない、とあたしはぱくぱくしていた口を閉じた。


なんて言うか、もっと相沢くんに踏み込まないと、ダメな気がしてたんだ。
イマイチ、近寄れてないというか、溝があるというか。
でもこれ以上、どうすればいいのか分かんなくて。


近づくっていうのは、その、やっぱキスとかそういう流れが必要なんだろうけどさ。


でも!


付き合ってもないんだし、どうしたらいいのよ?
いきなりキスするわけ?

付き合った人たちともそういう事しなかったのに、できるわけないよ。


そうだよ。そんな、キスとか、相沢くんとできるわけ……


相沢くんと……




相沢くんと、キス、かあ……。



………………、いやいや、そんな。


恥ずかしいな。


でも、どんな感じだろ……。



「――もしもーし? 鈴奈、戻ってこーい」


「……ふへ?」