部活の帰り道、同じく部活帰りだろう相沢の姿を見つけた。


「そこの無愛想な相沢ー。1人ー?」


背中から声をかけると、振り返った顔はやっぱり無愛想だった。


「失礼な呼び止め方すんな」


「部活帰り?」


「ああ」


「剣道部、いつもはもっと遅くまでやってるのに今日は早いね」


「ああ、まあな」


短い受け答え。本当にこいつってば無口で困る。

あのきゃーきゃー元気な鈴奈と、一体どんな会話をしてるんだか、
とあたしは最近幸せバカな友だちの顔を思い出した。


「そういや、足の捻挫はもう平気なわけ? ずいぶん無理したでしょ」


「まあ、ぼちぼち」


横を歩く相沢はすたすたと足を運んでいるから、多分それなりに回復しているんだろう。


「ねえ、聞きたいことあったんだけど」


「何だ」


「旧体育倉庫でさー、鈴奈を抱えたじゃん」


「ああ」


「お姫さま抱っこにしなかったの、何で?」