翌日の土曜日。


あたしは相沢くんを見舞うために、
相沢邸の前に立っていた。


……なんか、えらくでっかい家なんですけど。


お父さんが35年ローンでようやく建てた小さな我が家を思い出して、ふうと溜め息。


ええい、ここで怯んでどうする。
あたしは、危機から救ってくれた相沢くんに、ちゃんとお礼も言わなくちゃいけないんだからっ。


格子戸のついた門の横にあるチャイムを押す前に、自分の服装をチェック。

両手足の傷が結構目立つので、それを隠すために苦労したのだ。
白のワンピースにイエローのカラータイツ。
柔らかなイエローのショールを巻いて、

だ、大丈夫だよね?

派手でもない、し、化粧はうすーくしかしてないし。
イメージ、悪くないよね。

手土産のケーキも、持った。

相沢くんのご両親にだって、ばっちり好印象与えてみせるもんね。

よし、と気合いを入れ、チャイムに指を伸ばした時だった。


「広瀬さん、いらっしゃーい」


明るい椿ちゃんの声がした。