「やっと見つけたんだぞ! 大人しくここにいろっ」


あたしはばたばたと暴れて、腕から逃れようとした。


「いや! あっあたしのこと、嫌いなんでしょ?

不機嫌な顔して! さっきからずっと、怒ってるじゃないっ」


「好きな女があんな目にあって、笑ってられるわけねーだろっ!」


相沢くんが怒鳴った。


……え?

相沢くんのその言葉は、あたしの動きを止めた。

いま、なんて?



「他の男に押し倒されてるの見て、平常でいられるわけねーだろーがっ。大人しくこの中にいろっ」


言葉と一緒に、あたしを抱く腕に、いっそうの力が込められた。


「……いま、言ったの、ほんと?」


声が震えた。
今の、聞き間違いとかじゃ、ないの?


「……本当。だから暴れるな」


相沢くんが、好き?

あたしを?

好きだって言うの?



「………………でよ」


「何?」


「バカにしないでよ! 他に好きな人いるくせに! 適当な嘘つかないでっ」


あたしは本気で、相沢くんが好きなのに。
なのに、そんな嘘で汚さないで。