出て行って、じゃなくて、あたしが出ていかなくちゃ。

怪我人に酷いこと言っちゃった。


それでも、その突き放した言い方がやっぱり悲しくて、
あたしは涙を何度も拭いながらゆっくりと立ち上がった。

足首に走る痛みに息を飲むけど、我慢しなくちゃ。

ここを出るまでは、痛そうなそぶりは絶対見せちゃダメだ。


「っく……、ごめんなさい。
今日は、あ、ありがとう。さよな……」


小さく頭を下げようとして、引き寄せられた。
いきなり腕を掴まれて、強い力でぐいっと体ごと持っていかれた。


足に力がはいらなくて、そのままよろけたあたしは、

あっという間に相沢くんの腕の中にくるまれていた。

背中から抱きしめられて、その絡んだ腕が強くあたしを捕らえる。


「お前が出て行ってどうすんだよ!? ここにいろ、バカ!」


耳元で相沢くんが怒鳴った。


「い、意味わかんないっ。離して!」


何でこんなことすんの?
あたしの気持ちわかってやってんの?

頭が沸騰したように熱くなって混乱する。


「あっ、あたしのことなんか、放っておいてよ!」