「あ、あ、あたしが嫌いなら、っく……、さっさと、ひっ、出て、行きなさいよ」


嗚咽まじりで上手くしゃべれない。
でも、続ける。


「こんな、に泣いてっ、め、迷惑なんで、しょ。こんなとこにいないで、出て行けば!?」


そうだ。
早く、どっか行ってよ。

もうみじめな気持ちになりたくない。


立ち上がる気配がして、ガラン、とバケツが揺れる音がした。
さっき足を入れていなかったから、立った拍子に蹴ったのかもしれない。


ああ、行っちゃうんだ。

そうだよね。
こんなところにいる理由、ないもん。

あたしのそばにいてくれる理由、ないもん……。



どさり、と横に座る音がした。




へ? と顔を向けると、相沢くんがぶすっとした顔でいた。


「こんな足の人間、追い出すのかよ」


ガンッとバケツを足元に置いて、腫れた片足を無造作に入れた。


「……、ごめんなさい。あたしが出て行けばよかったよね」


相沢くんが怪我した足で、あたしを助けて運んでくれたのは、本当のこと。

そのことは、感謝しなくちゃいけない。