ぼろぼろっと涙がこぼれた。


やっぱ大凶。大凶女なんだ、あたし。

手首は痛いし、足首はもっとずっきんずっきん痛む。
こめかみも痛いし、肘も痛い。

怖い思いして、必死に助けを求めて、
相沢くんには不機嫌な顔されて。

優しさを感じたかと思ったら、相沢くんは他の好きな人を見てる……。



「ど、どうしたの!?」


いきなりひーひーと声を殺して泣き出したあたしに、椿ちゃんが驚いた声を上げた。


「っく、……な、なんでも、なひ……っくん」


「落ち着いたら、安心したのかしら? 大丈夫、大丈夫よ」


あたしの横に座った椿ちゃんが、優しく背中を撫でてくれた。


優しく、しないでよ。
椿ちゃんは、嫌いになりたい人なんだから。
相沢くんに想われてる椿ちゃんなんて、あたしの敵なんだから。




「……ハル。それで、何があったの?」


椿ちゃんの真剣な声。続いて相沢くんの声がした。


「今からの話、他の奴には内緒にしてくれ。
それで、ゆいこに頼みたいことがある」


「何?」


「ちょっと、こっち」


ガラン、とバケツの中が揺れる音がして、相沢くんと椿ちゃんが二人して奥に行く気配がした。