手早く手当てをしてくれた椿ちゃんは、
最後にあたしのこめかみの傷にガーゼを貼って、溜め息をついた。


「とりあえずは、これでよし。顔の傷は軽いから、痕は残らないと思うわよ。

足の湿布は、傷にしみてない?」


「うん、大丈夫。ありがとう」


濡れタオルで顔や手を拭いていたあたしは、ぺこっと頭を下げた。

よし、と頷いた椿ちゃんは、相沢くんに顔を向けた。


「次は、こっちね。足、出しなさい」


「別に、いい」


「よくないって」


椿ちゃんは相沢くんの足をがっしとつかみ、裾をめくりあげた。


「いってぇっ! 離せ!」


露わになった相沢くんの足首は、今のあたしの足なんかよりも、もっと赤く腫れていた。


「大丈夫じゃないじゃない! こんなになるまで無理して!」


「相沢くん! その足……!」


怒る椿ちゃんと、驚いたあたしから、相沢くんが顔をぷいと逸らした。


「っ……、平気だから。離せよ」


「どこが平気なのよ。ほらっ」


椿ちゃんが相沢くんの赤い足首を軽くぺしっと叩いた。


「いってえ! ゆいこ、もうちょっと考えて触れ!」


「ほら、痛いくせに。強がっちゃって」