ずんずんずんと、ただ歩く相沢くん。

すれ違った何人もの生徒は、まるででっかい砂袋のようになっているあたしを、好奇の目でじろじろと見た。

うう、指差して笑ってんの、ばっちり見えてるんだからね!


「あ、相沢くん」


「なんだ」


「下ろして」


「無理だな」


さっきからこの繰り返し。


相沢くんはえらく不機嫌に短く答えるだけで、周りのにやにや笑いの視線をものともせずに歩いている。


な、なんでこんなに怒ってるのよ。

いや、怒ってるのは知ってるけどさ、じゃあ何であたしを運んだりしてくれるのよ。


「あ、相沢く……」


「黙ってろ」


ぴしりと言われて、口をつぐむ。

すっごく怒ってる。
こ、怖いよー。

とりあえず、黙っていよう。
怒られる理由は少ない方がいい。


……。
相沢くんの、短くて荒い呼吸が聞こえる。
何だか苦しそうな……って! はっ!

もしかして、あたし、重たいのでは!?

そ、そうだ。
重たくてそれでキツいんでは?


「あ、相沢くん! あたし重たい!!」