改めて自分の体を見る。
ジャージはずいぶん汚れてしまっていた。
顔なんて多分涙と鼻水で情けないことになってるだろう。

あたし、結構酷い有り様かも……。


「保健室、行く……ていったぁーい」


立ち上がろうとして、顔をしかめる。
思いのほか、足首が痛んだ。

へなへなと座り込んで、足首を押さえた。


「立てない? 足、挫いたのかなあ」


紗希があたしの顔を覗き込んだ、と思った途端、あたしの体がひょいと浮いた。


「は!? ひょっ!」


地面が急に遠ざかり、視線は相沢くんの背中がよく見えて、どうやらあたしは、相沢くんの肩に担がれたみたいだった。

荷物を抱えて、運ぶような感じ。

なななななにしちゃってるんデスカー!?


「な、なな、何!? 下ろして!」


「保健室、連れてくから暴れんな」


バタバタと動くあたしのお尻を、相沢くんがぺちんと叩いた。


おおお尻! 今ぺちんって、ぺちんって。

ぎゃーーーーっ。


「おい、ここ出るぞ」


ぽかんとあたしを見上げていた紗希に、相沢くんが言った。


「出るって、あいつは?」


紗希の指差した先には木村くん。


「その手錠。扉にそれかけておけば出られないだろ。早いとこ、こいつを保健室に連れてかないと」


紗希が、持っていた手錠を見て納得したように頷いた。