屈んであたしの目線と同じになった相沢くんが、口を開く。


「俺……」


「相沢!! 鈴奈いた!?」


息を切らせた紗希が飛び込んできた。


「ひぃーっく、さ、紗希ぃ」


「鈴奈ぁ!! あんた、大丈夫!? 何それっ!」


紗希はあたしに駆け寄ってきて、手錠のかかった両腕を掴んだ。


「き、木村くんが、これ……」


「木村が!? ってか木村のバカどこよ!」


倉庫を見渡した紗希の視線がとまる。
その先を見ると、倉庫の隅に木村くんが転がっていた。
う、動いてない?


「さっき、全力で殴りつけたから、気、失ったかもな」


相沢くんが吐き捨てるように言った。


「鈴奈、ちょっと待ってて! 木村がこれのカギ持ってるかもっ」


うつぶせになっている木村くんに近寄り、こわごわと様子を窺う。


「……うん、気絶、してるみたい、ね」


そう言うと、紗希はうりゃっという掛け声と共に、木村くんを蹴り転がした。


「さ、紗希!?」


「これ位、やって当然。カギ、ジャージのポケットかなぁ……。あ、あった」


カギを見つけ出した紗希が、あたしの手足の枷を外してくれた。


「……っつぅー。痛、い」