kiss-choco

え? へ? は? い?

頭が真っ白になる。
何であたしのほっぺた、相沢くんの胸元にあるの? 心臓のどきどきがわかるくらい、ぺったりくっついてるんですけど。

あれ? あたし、転んでたから起こされたんだよね? よろけて、相沢くんにもたれかかったとかじゃないよね。

うん、違うよね。



だって、相沢くん、痛いくらいあたしを絡みとってる……。





混乱した頭で身動きとれないでいると、ふっと相沢くんの体が離れた。

座り直したあたしの口に巻かれていた布を、外してくれる。


あ、あれ? やっぱり、ただ起こしてくれただけ?

あたしには長く感じたけど、ホントは一瞬だった、のかな。


「大丈夫か?」


ぷは、と口で息を吐いたあたしに、相沢くんが言った。
短い言葉には、明らかに怒りが感じられた。


「ひく……っ、ん、だ、だいじょぶ……、くっ」


さっきまで泣きわめいていたせいか、しゃっくりが混じる。