kiss-choco

音に驚いて、目をぎゅっと閉じた。

その次の瞬間、鈍い音が頭の上がすんとした。

体に感じていた木村くんの重みが消える。


何!?

何が起きたの!?


「鈴奈!!」


呼びかけられた、声。
この声……。




目を開けたあたしを見下ろしていたのは、相沢くんだった。


外からの光に照らされた顔は、汗だくで、般若みたいな怖い顔をしていた。


「……あ、あうんもがん……
 (あ、あいざわくん)」


な、何で相沢くんがここにいるの?

何でそんな怖い顔であたしを睨んでるの?


意味が分からないながら、慌てて体を起こそうとして、出来ずに再び転がる。


「大丈夫か!?」


相沢くんがあたしを抱き起こしてくれた。
力強い腕。あまりに近い顔は、眉間に深いシワが入っていた。
こんなに近くで顔をみるなんて、初めてだ……。
こんな状況なのに、ついそんな事を考えてしまったあたしと、相沢くんの瞳がかちりと合った。

あ、と思う間もなく、次の瞬間には相沢くんの腕の中に、すっぽりくるまるようにして、抱きしめられていた。