片桐の言葉を聞いた、相沢の顔つきが変わった。


「あ、相沢? どうしたのよ」


「木村だ」


「へ? な、何で?」


「着ていたジャージが、土埃まみれだった。バスケは体育館だろ? 土埃は、関係ない競技だ」


土埃……。
鈴奈はどこか、泥があるような場所にいるの?

そう聞き返す間もなく、相沢はすでに再び来た道を戻り始めていた。


「片桐、あたしは相沢を追うわ。多分、外を探すことになると思う。
あんたは校舎内に木村がいないか探して!」


「わかった」


後を追って走り出す。
相沢の背中はすでに遠くなっていた。