「あ、いや、なんつーか……」


「鈴奈、あんたのことすごく信頼してたんだよ。それなのにこんな裏切り方、ないんじゃないの」


片桐は苦しそうに顔を背けた。
絞り出すように呟く。


「……他のやつに、渡したくねーんだよ」


「だからって、あんたのやり方は鈴奈を傷つけるだけじゃん。
最近の鈴奈の様子、見てたでしょ!?」


鈴奈を見て、心配そうにしてた片桐を、あたしは知ってる。
ちょっとは見直してたのに。

自分の流した噂の結果なのに、そんな態度とるなよ。


「鈴奈が見つかったら、あんたのやった事、洗いざらい話すから。
鈴奈に殴られること、覚悟してなさいよね」


「……殴られるくらいで許してもらえるなら、何回でも殴られるよ」


顔を逸らしたまま、言う。


「ここんところの鈴奈見て、これでもすげー反省したんだぜ。
でも、それでも鈴奈が欲しかったから、黙ってた。
つか、嫌われるの分かってて、言えねーよ」


「そんなに好きなら、遠回りせずに直接行きなよ。告白でも何でもすればいいじゃん」


「フラれるの分かってて、できるかよ!」


「鈴奈は何回も相沢に告白してたよ。フラれても、フラれても、それでも行ってたよ」