「ちょ、ちょっと待ってよ。彼氏って何の事?」


「最近ずっと一緒にいるだろ。片桐」


相沢は靴を脱ぎながら、ぶっきらぼうに言った。


はあ?
片桐ぃ?
何でそんな名前が出てくるわけ?


あ、もしかして。
相沢ってば、あんまりにも鈴奈と片桐が一緒に行動してるから、勘違いしたんじゃない?

うん、そうだ。きっと、そう。



あたしは溜め息をついた。
鈴奈のバカ。
片桐を頼りにしてたばっかりに、勘違いされちゃったんだな。


「あのさ、鈴奈と片桐は付き合ってなんかいないよ。一度は付き合ってたけど、それも一年も前に別れたんだし」


仕方ない。あたしが誤解を解いてやるか。
そう思って言うと、相沢は視線だけあたしによこした。


「ああ、言い方が悪かったか。今は付き合ってるのは、体だけ、だったっけ?」


「はあああっ!?」


「体だけって割り切った方が気楽なんだって? お前、友達ヅラして俺に文句言う前に、そういう所をどうにかしてやれば?」