「いい。自分で取るから」


そう言って足を踏み出した相沢が、顔をしかめた。
それなりに痛むらしい。


「取ってあげる。相・沢・く・ん」


あたしはイヤミったらしく言葉を切って、湿布の入った箱を取った。
空いているパイプイスを相沢に押しやり、


「ここで貼っていきなさいよ」


と言い、自分も向かいのイスに座った。

相沢は訝しそうな顔であたしを見ていたけど、
あたしががっちりと箱を抱えていることに諦めて、
しぶしぶといった感じで座った。


「ほら、湿布よこせ」


「あんた、鈴奈に何かした?」


相沢の目が、ぎろっとあたしを見据えた。
ふん、全然怖くないもんね。


「何かしたでしょ。鈴奈、最近様子がおかしいもん」


「何で俺に聞く? 彼氏の方に聞けよ」


「は? 彼氏?」


「ああ。俺には関係ない事だろ」


湿布よこせ、と相沢はあたしの腕の中の箱を掴み取った。