「ちょーっとだけ、我慢だよ」


身動きのとれなくなったあたしの口に、木村くんが布をまいた。

ぐっと口の中に布が押し入ってくるくらい、キツく結ばれる。


い、痛い……っ!


苦しい!


鼻は塞がれていないとは言え、こうして口が使えなくなると、途端に息苦しく感じてしまう。


「んーー! んーー!」


木村くん!
こんなの止めてよ!

目で懇願するあたしを見下ろしている木村くんは、
こんな事態とは関係ないような声音で、


「待っててね。急いで戻ってくるからね」


と言った。


木村くんが倉庫の木戸を開くと、光が差し込んであたしを照らした。
眩しくて目をひそめていると、木村くんはするりと木戸から身をすべらせた。


「じゃあね」


がたん、という音と共に、光はまた消えた。