打つ手だてなし! なんですけど!


「鈴奈ちゃん、好きだよ」


また一歩近付いてくる木村くん。
その距離は、木村くんが手を伸ばせばあたしに触れてしまうくらい近くなっていた。



これは、ヤバい。どうにかして身を守らないと。



誰か!


たーーすーーけーーてーー!



「鈴奈ちゃん……」


「やっ! こないでっ!」


伸ばされた手があたしの腕を掴む。
その手に力が込められて、引き寄せられる。


このままだと抱きしめられちゃう!?


それは絶対嫌だ!


あたしは身をよじって、木村くんの腕から逃れようとして、
その勢い余って床に転んでしまった。