「はー、疲れたぁ。ちょっと休憩っ」
テントに戻って、あたしは紗希の横に座り込んだ。
「お疲れ。頑張ってるねー、実行委員」
紗希が、まだ冷たいスポーツ飲料のペットボトルを渡してくれる。
「ありがとー」
流し込むように飲んで、一息つく。
「今日暑いよねー。テントの日陰にいても、汗ばんじゃう」
紗希がてらてらと照らす日差しをうんざりしたように見上げた。
「うん。さっき片桐くんに会ったんだけど、もう日に焼けてたよ」
「テニスコートには日陰がないもんなー。ま、あっちもそうだけど」
紗希が指差したグラウンドでは、野球の試合が行われていた。
対戦しているのは、うちのクラスと、相沢くんのクラス。
「……あいつ、野球に出てるんだね」
紗希が言う。
「さっき気がついたよ。鈴奈、近くに見に行く?」
「ううん、いい。ここからで」
「そか」