下を向いて歩いていると、澤田くんがいきなり肩を掴んで、 私の動きを止めた。 ダウンの下に着ているカーディガンの裾を思いっきり伸ばして、 私の目をゴシゴシと擦った。 「…言えるなら、聞くけど」 『―っ、優しすぎ。そんなに甘えられない』 「ったく、変なとこで意地張るなよな。ま、言いたくなったらいつでも聞くさ」 私は心の中で何回も何回も"ありがとう"と言った。