私は、お父さんから目が離せない。 「…や、だよ?」 振り絞りながら出した声は、今まで以上に掠れていた。 「みこ、東京にはお母さんのお墓があるんだ。お母さん一人なんだ、一人で東京にいるんだ。 お父さんは、何年もお母さんのこと…放っとけない」 〝だから、戻ろう〟 そう言われた気がした。