「宮野くんっ。私達─「ありがとう」
私の言葉を遮る翔太くん。
ありがとう?
どうゆう意味?
何で宮野くんに『ありがとう』って言ったんだろう。
「あ、みこっ」
寝室にいるはずのなぁちゃんが、いつの間にか玄関に来ていた。
「ん?何?」
「耳貸してっ!」
私がなぁちゃんの近くに寄ると、なぁちゃんは、私に耳打ちした。
それは、私にとって喜ぶべき言葉だったよ。
でも、どうしてそれをなぁちゃんが知っているのかが気になった。
「〝青柳、みこが東京に行っちゃってから……一度も彼女つくらなかったらしいよ〟頑張ってね!みこっ」
この気持ちは、何?
嫉妬?
なぁちゃんがこれを知ってたから?
……違う。
そんなんじゃないんだ。
もっと、心にぽっかり穴が空いたような気分。

