私が一歩後ろに下げて、振り向こうとしたとき……誰かに名前を呼ばれた。
「みこっ!!」
……大好きな人の声を忘れるわけがない。
私は、一歩後ろに下げた足をまた元の位置に戻した。
前を向くと、息を切らしている翔太くんがいる。
「…みこ、みこだよな!?」
翔太くんの目を見ると、少しだけ潤んでいた。
私のところに来てくれたのは嬉しい。
でも翔太くん……竹井くんの妹さんが見てるよ?
私からの視線だと、竹井くんと竹井くんの妹さんがばっちり見える。
翔太くん…私のところなんかに来たら、竹井くんの妹さんに怒られちゃうよ?

