「キャスパトレイユ様!
ヨゾラは関係ありません!
でもあたし、悪い事したなんて、思ってないから。」


「・・・・・・・・・・。」


またも、無言のキャスパトレイユ。


「キャス?」


キャスパトレイユの隣で、つい、乃莉子が心配そうな声を漏らしてしまう。


「そうだなぁ・・・。」


乃莉子の声を合図に、キャスパトレイユがようやく口を開いた。


「よし。決めた。」


固唾を飲んで、その場にいた全員が、キャスパトレイユに注目する。


「イザヨイは、俺を諦める事。
それが、俺からのお仕置きだ。
・・・でも、乃莉子にはちゃんと謝ってもらうぞ。」


「え?私なら、もういいよ。
ヨゾラくんにも、お世話になったし。」


「乃莉子は優しいな。」


キャスパトレイユは、片手で乃莉子の細い肩を抱き、腰をかがめて頬にチュっと口づけた。


イザヨイは軽く唇を噛んで、悔しそうな表情を見せたのだが、観念したのだろう、頷くしかなかった。