照れたのであろうか。


ヨゾラは視線を游がせて、そっぽを向いてしまった。


「私、今すぐ行きたいわ。
キャスの記憶を、戻さなくっちゃ!
早く行きましょう!」


乃莉子はヨゾラに、掴みかかりそうな勢いで、バンっとテーブルに、手をついた。


―――。


魔界では、魔王の寝室でゆったりとした物腰でソファーに座るアマネの姿があった。


一難去って、また一難。


美貌の魔王には、次から次へと難題が降りかかり、気の休まる時がない。


妹の事も勿論心配だが、自ら動く訳にもいかず、ヨゾラを派遣した。


「まったく・・・。」


アマネの深いため息を聞いて、心情を察したシラサギが、飲み物を差し出しながら、クスっと笑った。


「この上、覇王の任にも就いていたなら、アマネ様のお体が、壊れてしまう所でした。
ご辞退したのは、正解だったのでは?」