天使の舞―後編―

「天王妃に相応しい娘を探すっていうのが、俺の目的だったから、見つけてから好きになろうと思ってた。」


「それって、どうなの?
そんなんで、好きになんかなれないでしょ?」


「うん。だから、キスしても、抱きしめても、一晩一緒にいても、本気になる事はなかったな。
妃に相応しいかどうかを、見極めるのが優先だったから。」


「キャス酷い。」


「でもさ。
大体の女は、そういう関係になると図々しくなってさ、途端に面倒臭くなるん・・・あっ・・・いや・・・違うんだ!
そうじゃない、つまり、ほら、あれだ、その、それ・・・。」


途中で乃莉子の冷たい視線に気がついて、一生懸命取り繕うキャスパトレイユは、かなりシドロモドロになっている。


「あ~、だから、つまり。
俺には乃莉子だけなんだよ。」