「宮田のくせに、俺に命令すんな!なぁ・・・の・・・のり・・・。
イザヨイ。」


「は・・・はい!
キャスパトレイユ様!
そうよ、宮田のくせに!」


イザヨイは喜び勇んで、相槌をうった。


「キャス・・・。
私の名前さえ、分からないの?」


乃莉子は、こんなやるせない気持ちになったのは初めてで、目頭が熱くなってくるのを、必至で堪えた。


「イザヨイさん、キャスの術を解いて。
今すぐ元に戻してよ。
矢崎さんにも、そうだったわよね?
人の心を操ったって、結果、何も得られないわ。
こんな事して、何が楽しいの?」


「キャンキャンと吠える、うるさい女。
さぁ、キャスパトレイユ様!
あたし達は、早く天界に行きましょ。
あたしに説教するなんて、100万年早い!っつ~の!」


イザヨイは、キャスパトレイユと腕を組んで、乃莉子にアカンベーをした。


そしてイザヨイの指がパチンと鳴ると、そこにはもう2人の姿は、ない。


乃莉子の目の前で、キャスパトレイユは連れ去られてしまったのだった。