さすがに騒がしい店内が気になって、奥の事務室からテクテクと現れたぽっちゃり店長宮田が、語尾の伸びる独特な口調で、3人をたしなめた。


「ちょっとぉ、君たちぃ。
何騒いでいるのぉ?
お客様にぃ、失礼でしょお。
もぅ!広木さんまでぇ・・・。」


宮田が、お客さん達にペコペコと頭を下げながら、乱入してくれたおかげで、愛の三角関係劇場は、無事幕を閉じた。


乃莉子は我に返り、周りのお客さん達の視線に気がついて、無性に気恥ずかしさが込み上げてくる。


「す・・・すいません店長。」


顔を真っ赤にして、乃莉子は謝った。


「広木さぁん、ちょっと奥に来てもらって、いいかなぁ?」


宮田はいつになく真面目な表情をして、乃莉子の背中に手を回した。


「おい!」


咄嗟に、宮田の手首を掴んだキャスパトレイユ。


何故だか乃莉子に触れた宮田に、無性に腹がたったのだ。


「あれ?」


イザヨイを乃莉子だと思わされているキャスパトレイユは、自分の想いと行動に小首を傾げ、宮田の手を放す。


「もぅ・・・君もですよぉ。」


宮田は軽く眉を上げて、2人を事務室に招いた。