キャスパトレイユは、不思議そうな顔で、乃莉子を見つめる。


「ねぇ、キャス。」


もう一度、乃莉子はキャスパトレイユに呼び掛けた。


「ん~・・・。
お前の事、知ってるような気がするんだけどなぁ。
何だか頭の中がモヤモヤして、霧がかかったみてぇに、ボヤけてんだよ。
お前・・・え~と・・・。」


キャスパトレイユは、額に手を当てて、尚も乃莉子をじっと見つめる。


「どうしちゃったの?
ねぇ、キャス。
笑えない冗談、言わないで。」


乃莉子が焦っている様子を見て、イザヨイはクスっと笑い、キャスパトレイユの腕にしなだれて念を押した。


「キャスパトレイユ様は、ここ(人間界)へ“あたし”を迎えに来てくれたんだよ。
人間の“あたし”を妃にして、キャスパトレイユ様は、覇王になるんでしょ。
キャスパトレイユ様、早く“あたし”と天界に行こう。
“あたし”が、キャスパトレイユ様の愛してる、人間のイザヨイなんだよ。」


「っ・・・!?」


イザヨイの言葉に、乃莉子はびっくりしすぎて、耳を疑った。