ヨゾラは、深い藍色の髪を逆立てんばかりに、嫉妬の炎を燃やす。


「イザヨイは僕のモノだ。
僕と結婚するの。
また、いつものイザヨイの気まぐれかと思って、黙ってたけど、本気とか言い出すなら、お兄様に言いつけるよ。」


「もう・・・ヨゾラったら、焼きもち焼かないでよ。
ヨゾラの事は、大好きに決まってるでしょ。」


イザヨイはヨゾラの機嫌を直すために、ゆっくりと深い口づけをした。


心の中で、謝りながら。


「こんな事するの、ヨゾラにだけなんだから。
だから・・・ねっ・・・?
お兄様には内緒だよ。」


ニコッと笑って、イザヨイはヨゾラに抱きつく。


「分かったよ。言わない。
だからイザヨイも約束して。
イザヨイは、僕だけのイザヨイでいるって。」


大人びた色気のある、男の顔を見せて、弟は姉に念を押した。


「分かってる。」


応えるようにイザヨイも女の顔をして見せたのだが、頭の中は既に、キャスパトレイユで埋めつくされてた。