イザヨイは、乃莉子の姿を思い出しながら、ヨゾラに教える。


「でもね、かなり鈍臭そう。
顔は似てても、タイプは違うわね。
お兄様の妃がシラサギで、よかった。」


「うん。そうだね。」


ヨゾラは、話途中のイザヨイにキスをする。


抵抗する事なく、イザヨイもヨゾラのキスを受け入れて、何事もなかったように、話の続きを進めた。


「あたし考えたんだけど、キャスパトレイユ様の記憶を、すり替えちゃおうかと、思うんだ。」


「どういう事?」


潤んだ瞳で、優しくイザヨイの頬を撫でて、ヨゾラは聞く。


双子というだけあって、ヨゾラは、イザヨイなみの色気と妖艶さを、兼ね備えた少年だ。


真っ黒な瞳に宿る魅惑的な光は、見つめられた者を瞬く間に虜にしてしまうような、力を持っている。