乃莉子は矢崎の力強い腕から逃れられず、未だに抵抗しながらも、少女の美貌から目を離せない。


そして、ひとつの答えを導き出した。


「まさかとは思うけど、あなたアマネの・・・」


「そう!
妹のイザヨイで~す!」


「え~~!!」


「すごい。よく分かったね。」


アマネの妹であるという、自分の正体を明かしてから、イザヨイはびっくりしながらも、乃莉子を褒めた。


やっぱり・・・。


乃莉子は、目的のためなら手段を選ばない、この強引な感じに、心当たりがあった。


そして圧倒的美貌の外見にも。


「だからって、魔力で人の事操るの止めて!
矢崎さんを、元に戻して!」


「ムリムリ!
あたしにそんな力ないよ。
あたしは、マスターの潜在意識を助けただけ。
本人が思っていない事をさせるのは、ムリ!
兄様は王子だから、強い魔力が使えるの。
キャスパトレイユ様もね。」


イザヨイは、キャスパトレイユの名前を口にすると、ほんのり頬を染めて、恥ずかしそうにはにかんだ。