きっと矢崎さん目当ての、お客さん用の雑誌なんだろうな。


と、いうことは・・・。


中高生とか、二十代の私位のお客さん、って事でいいんだよね。


乃莉子は真剣に吟味して、人気雑誌を三冊手に取った。


手早く伝票に記入すると、宮田に後を任せて配達に出かける。


メルヘンからは、歩いて十分とかからない場所にある、喫茶ヤザキ。


配達の道中、清々しい青空と少し肌寒い風が、乃莉子の心もすっきりとさせてくれる。


「う~ん。
平凡で当たり前な日常だ~。
やっぱり、こうでなくちゃね~。」


乃莉子は両腕を伸ばして、心の声を口に出した。