キャスパトレイユは、ビクッと肩を上げ、隣で無邪気な笑みを浮かべるライラを見た。


「私は分かっておりました。
愛を囁くお言葉が、本心からではない事を。」


「ライラ・・・。」


「でも私、キャスパトレイユ様を大好きなんです。
悔しいですが、大好きなお方の幸せを、願わずにはいられません。
だから私は、キャスパトレイユ様のご婚約を、祝福致します。」


キャスパトレイユは、短く息を吐き出して、ホッとした表情を見せた。


そんな二人を見ていたトルティナが、潤んだ瞳のままで声を震わせる。


「わ・・・私だって、王子様のお幸せを願っていますわ。
ただ、王子様のお隣には、私が居たかった。
そう思ってしまいますの。
簡単に、割りきれるものではありません。」


そっと口元に手を当てて、トルティナは訴えた。