乃莉子の羽ばたきの舞は、見る者感じた者、全ての者達に感銘を与え、盛大に幕を閉じた。


ため息と吐息で静かだった王宮は、これまでにない大きさの歓声に包まれて、バルコニーに戻った乃莉子には賞賛が贈られた。


「ど・・・どうだった?
私、上手く踊れてたかな?
失敗はしてないと思うんだけど。」


息を切らしながら乃莉子は、開口一番キャスパトレイユに聞いてみた。


「乃莉子、最高だよ。
さすが俺が惚れた女だ。
聞こえるだろ、この歓声!
悪魔達も、ほら!」


「本当だ・・・。」


「こんな美しい舞は、見た事ねぇよ。」


声を弾ませて、キャスパトレイユは乃莉子にそう言うと、力いっぱい抱きしめた。


「これで、お前の羽ばたきを浴びた者は皆、間違いなく翼を持った子を産める。
乃莉子のおかげだ。
ありがとな。」


「そんな、私は何も・・・。
ただ、キャスを好きになっただけだよ。」


「乃莉子・・・。」


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それから夜通し宴は続き、天王宮の前には天使も悪魔も入り乱れ、つかの間の交友を楽しむ姿があった。