そして、空を見上げて感動している悪魔の中には、片翼の双子も居た。


一度天界を訪れている彼らは、単純に乃莉子の美しい舞に見惚れている最中であった。


アマネとシラサギから少し離れた所で、乃莉子の羽ばたきを2人一緒に浴びていたのだが、イザヨイが背中に違和感を感じて、ヨゾラに声をかけた。


「ねぇヨゾラ。
なんだか背中がむずむずしない?」


「うん、ちょっとね。
もしかしたら、翼が生えてきたりして。」


「そんなの、ありえな・・・。
・・・って、えっ?
・・・うそ・・・ヨゾラの背中・・・。
もこもこって、翼が出てきてる。」


「へぇ、即効性あるんだね。
乃莉子、やるじゃん。
帰りはちゃんと飛んで帰れるよ、イザヨイ。」


「・・・ヨゾラさ。
もう少し、驚こうよ。」


「あ。ごめん。
僕、これでもかなり、驚いてる。」


ヨゾラは、音も無くススッとイザヨイにくっつくと、イザヨイにも生えてきた、もう片方の黒い翼を愛しそうに撫でた。