「もう・・・。
そんな事言わなくてもいいじゃない。
せっかく緊張が薄れてたのに・・・。」


乃莉子は、唇を尖らせた。


・・・が。


その唇は、いとも簡単にキャスパトレイユに飲み込まれ、乃莉子は今まさに自分がキスをされている事に、慌ててしまった。


それを見た天使も悪魔も、冷やかしや賞賛の声をあげて、2人のサービスショットを歓迎している。


唇が離れるや否や、乃莉子は真っ赤になって下を向いてしまった。


「キャスのばか。
こんな・・・皆の前で・・・。」


乃莉子の頭を軽くポンポンと叩き、キャスパトレイユは楽しそうに言う。


「アマネにキスされたままじゃ、癪だからな。
俺はちゃんとしたキスをしたまでだ。
それに公衆の面前でのキスに比べたら、舞なんて、どぉってことないだろ?
さ!自信持って行って来い。」


「そうだね・・・行って来る。
ありがとう、キャス。」


乃莉子は笑顔で頷くと、自らの足で一歩進み出た。