黒瀬くんがユニフォームを着ると。





「────黄瀬くん。ボールを手にしたら僕にください。瞬先輩に渡します」



すれ違いざまに黄瀬くんにそう伝えると、微妙な反応を見せたまま、頷いた。




「黒瀬ぇっ!!!!!」



黄瀬くんからのボールを受け取ったあと、すぐに瞬先輩にパスをした。


僕のパスは気づかれないうちに通り、しかも瞬先輩はフリー。



こんなチャンスなんてない。




「……しまったわ!!」



キュッとバスケシューズが音をたてる。


瞬先輩はいつになく真面目な顔をしたまま、スリーポイントシュートを決めた。