「…………っ」
恐怖と驚愕のあまりか。賊軍のトップは何も答えずただ首肯した。
するとミヤコは、今の今まで鼻先を掠めんばかりに突き付けていた剣を下ろした。
そして真意のこもる目で、賊軍の頭を見据えた。
「争いを止めてほしい。」
「……な、」
「他に何を言うこともない。お願いだ。」
「…………」
「争いを止めてほしい。」
ミヤコは頭を下げた。
兵士が、賊軍が、そして賊軍の総統が目を見張った。
何故頭を下げるのか。誰もが理解できない行動だった。
賊軍のリーダーはしばし黙り込む。ミヤコをじいと見つめ、息を吐いた。
「……俺たちは国に恨みがある。」
「……知っている。」
「昨日のアイツ等の比じゃないヤツ等が大勢居る。」
「……そうか。」
「突然兵をやめさせられて働き口もなく絶望している者、戦で亡くした家族の遺体を還してもらえなかった者、いろいろだ。」
「……あぁ。」
ここが隣国であったとしても。
国の闇を知った彼らの言葉は、姫として国を見続けてきたミヤコの心に、重くのしかかった。
彼らは決して、争いごと好んだわけではない。
国がそう、彼らにさせてしまったのだ。
「昨日はうちのヤツ等が突然喧嘩吹っかけて悪かったな。」頭を上げないミヤコに、賊軍の頭は謝った。
「……いや。」ミヤコは顔を上げ、首を振った。


