Different world story





「……居た。」


 ぼそりとつぶやく。

 ミヤコはそこから、いや、その人物から目を離さない。

 こんだけ苦労したんだ、もう見失ってたまるかと。


「ハルトっ」ミヤコは後ろで戦う王子を呼んだ。「頼みがある!」


 ハルトは威厳のあるその声に、思わずミヤコへ向きなおった。


「はい!」

「お前のその炎で、道を作ってくれ。」

「えっ、でも、」

「いいから! 目くらましにはなるんだろ!」


 ミヤコの意図を察したのか、ハルトはスッと目の色を変え、ミヤコの隣に並んだ。


「なります」


 ハルトが隣に立ったのを気配で把握したミヤコは、一切他へ目を逸らすことなく、言葉を発した。


「これは一回きりだ。一回しか効かない。」

「はい」

「でもハルトにしかできない。」

「はい」

「俺が合図したら、この直線上を一気に炎で埋め尽くして。」

「わかりました」


 ハルトがすぐ横で息を呑む。

 それでもミヤコは、視線を逸らさなかった。

 賊軍と兵士が混線する中、ミヤコは瞬間を待つ。

 見極めろ。

 どこが一番、効果的か。