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そこは混乱の極みにあった。
兵士と賊軍が武器を片手にひしめき合い、そこかしこで戦闘が繰り広げられている。足元には倒れた兵士や賊軍が行き場もなく転がっていた。
途中で乱入する形になったミヤコたち三人は、近くで混戦している兵士たちの手助けに入る。
しかし目的は異なる。
「ノアっ! 頭はどこっ!」
「わかんね! 俺に聞くな!」
「あーもう! どっから湧いてきてんだコイツ等! 虫かッ!」
振り回される敵の剣を弾きながらミヤコはハルトを振り返った。
「ハルトっ! お前の炎でなんとかなんねーのッ!」
「目くらましくらいにしかなりませんっ!」
「なんでッ!」
「俺の力は、人を傷つけないものなんですっ!」
「早く言えよッ!!」
敵を戦闘不能にさせながらミヤコはくわっと怒る。
本当にまったくこの王子は。大事なことを先に言わない。
通りで炎を相手の武器の消失にしか使っていないわけだ。ミヤコの後ろで援護をしながらハルトは「すみません!」と謝った。
しかし、ならばそれでもいい。
ミヤコは襲い掛かってくる賊軍たちを蹴散らし、入り乱れた混戦の様をざっと見渡す。
どこだ、どこにいる。
いい加減終わらせよう。これ以上血を流さないためにも。
剣を下ろす。背筋を伸ばし、すっと立つ。
凛と瞳を見開いて、ミヤコの視線は混戦の合間を縫って行く。
その姿たるや、一国の姫そのものだった。
ザアッ……と世界が音を失うように。ミヤコの視線はただまっすぐ。
自分の直線上に居る、目的の人物を捉えていた。


