「あっ!」と、耳元で少女が声を上げた。「騎士さま、あぶないっ!」
ミヤコはハッとする。我に返るのが遅い。戦場で思いにふけるなと、昨日痛感したばかりだというのに。
愚かなっ、とミヤコは剣を片手に振り向く。少女を守るように腕の中へ。
振り返った先、敵の剣がすぐそこまで迫っていた。ミヤコは奥歯を噛み締める。
……間に合えっ!
ミヤコは剣を握りしめた。そして振るう、直前。
――ザシュッ!
刃が肉に刺さる、鈍くも鋭い音が響いた。
敵の顔が苦渋に歪む。振りかざされた剣が落ちる。
まるで、昨日と同じように。
ミヤコはデジャヴに固まった。
そうして敵が倒れた先に、もはや見慣れた、彼が立っていた。
「……一応、俺も戦えるんだけど。」
「ノア……」
呆気にとられるミヤコは、しかし。
――ボッ!
という、背後の火炎音に振り返る。
そこには、武器を燃やされ慌てて逃げる賊軍の姿があった。
その後ろに居るのは、この国の王子。
「俺も戦えます! ちょっと卑怯ですけど!」
「ハルト……」
なんだこれは、と笑う。
笑いながら、ミヤコはうつむいた。
うつむいた先に、少女が居た。


